<故障・修理実例>・・エンジン関係【白煙】 c4002
2006年12月17日(日) ワゴンR
- 車名;スズキ ワゴンR
- 年式;H10
- 型式;E-CV21S
- エンジン;F6A ミッション;AT
- 型式指定;07486 類別区分;0366
- 走行;9.5万`
- その他;
*故障名
走行中にエンジン白煙
*入庫時状況(赤がポイント)
突然の電話で「走行中にマフラーから白煙が出だした。このまま走って
いいだろうか?」との問い合わせがあった。もちろん走っていいわけはなくこちらから
出向くまで待機してもらうことにした。さっそく現地まで出かけ、点検をしたところ
確かに排気口から白煙が出ており、何らかの原因でエンジンシリンダー内部にオイルが
入り→燃焼→白煙に至っていることは間違いなかった。いずれにしろ症状としては
重症であり、現地で治せるものでもないので工場へ引き取ることにした。ただこの車は
一年前に”ターボ故障”で取り替えを行っているので そのことが少し頭の中で
引っかかるところがあった。
*修理詳細
入庫してまず行ったのが現状の確認である。どんな時に白煙がより多く出るのかを
つかんでおくことは原因を探るうえで大切なことである。始動直後なのか、
アイドリング時なのか、アクセルを踏み込んだときか、坂道を登る高負荷時なのか。
色々試してみたところ意外なことがわかった。白煙は常時出ていたのだが特に坂道を
下った時に多量の白煙が出るのを後ろから付いていった車より確認することができた。
まさしく”ボワッー!”という感じである。実はこのことをもっと深く考えれば後々の
仕事に違ったやり方があったのだが その時は例の”ターボ”のことがあったので
次の点検の進むことになった。インテーク関係を外してターボからのオイル洩れ、その
ことによるオイル吸い込みがないかをみたところ そのような形跡は見られなかった。
”ターボ”が原因ではなかったのである(一安心)。次にスパークプラグを点検した
ところ 3本の内の#3シリンダーのプラグのみにカーボン付着、くすぶりが見られた。
このように一箇所だけにオイル侵入が見られたことからも”ターボ”が原因でないことが
はからずも証明できた。(ターボだとプラグ全数に同じ傾向が見られるはずである)
さて”ターボ犯人説”は消えたのだが では”真犯人”に迫るべく”容疑者”をと
考えたとき 次のようなことが考えられた。この車は以前にオーバーヒート気味に
なったことがあるので「シリンダーヘッドガスケットの亀裂」、「ヘッドの歪み」、それから
「バルブシールからのオイル下がり」、「ピストン、リングの磨耗によるオイル上がり」
等々。いずれにしろヘッドを外して#3シリンダーに何が起こっているのか、確認を
しなければならないことは避けれないように思えた。
ヘッドを取り外しての点検結果を言うと 上記”容疑者”はすべて”白”であった。
#3シリンダー内にスカッフィング(引っかき傷)も見られなかった。これで容疑者がすべて
消えてしまって困ってしまったのだが よくよく点検したところインテークマニホルドの
#3吸入ポート付近からバキュームを取っているのに気づいた。そのバキュームはホースを
介してオートマミッションに取り付けてある小さな”バキュームバルブ”につながって
いた。もしこのバルブからオートマオイルがエンジンに吸い込まれたら、っと考えると
症状の全てが”ピタッ!”っとパズルのように収まるのである。すぐに新品のバルブを
取り寄せ 口で吸ってみたところ 吸い込み抵抗に明らかに差異がみられた。バルブの
中をみることはできなかったが ダイヤフラムに破れが生じていると思われた。
ヘッドを組み付け バルブを交換して試運転を行ったところ 白煙は出なくなった。
またヘッドを外したとき エキゾーストマニホルドに亀裂が入っているのを見つけたので
マニホルドも交換をした。まさしく”ケガの功名”であった。(写真参照)
*修理項目
オートマミッションのバキュームバルブ及びエキゾーストマニホルド及びその他
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