<故障・修理実例>・・異音・振動【エンジン】 a1003
2007年01月21日(日) ワゴンR
- 車名;スズキ ワゴンR
- 年式;H12
- 型式;GF-MC21S
- エンジン;K6A ミッション;AT
- 型式指定;9203 類別区分;169
- 走行;6.5万`
- その他;
*故障名
エンジン異音
*入庫時状況(赤がポイント)
”エンジン異音”とのことで入庫した車だが とにかく「カタカタ」と
いう音を聞いた途端、時間も費用もかかることが予想された。この異音はほん
とうに「カタカタ」としか表現ができない特徴のあるもので これまでの経験から
すると”メタル打音”に一番近い音に感じた。エンジン回転を上げると「カタカタ音」も
一緒に早くなることから メタルでなくても”動弁系”であることには間違いがなかった。
問題はメタル系だとエンジン乗せ替えになるし 他の動弁系が原因なら部品の取替えで
治る可能性もあるので お客様としてもそこが一番知りたい点だということである。
そこで一旦 車をお預かりして原因の追究と見積もりを出すことを最優先に作業を
進めることにした。
*修理詳細
まず異音発生個所の特定にかかったが どうもエンジン前部から一番大きい音が
しているように思えた。それから もし”メタル音”ならこの大きさから判断をして
オイルに金属粉が混じっている可能性が大なので オイルを抜いて調べて見ることに
した。結果はと言うと オイルの汚れは酷かったが 金属粉の混入は認められなかった。
この辺にくると「動弁系かな?」という考えが強くなってきたので タペットカバーを
取り外してみることにした。カバーを外して一番目についたのは とにかく ものすごく
汚いことである。いたるところにスラッジ(カス)がこびりついていた。こんな状況だと
オイルを通る穴がスラッジのため小さくなるか、または穴が詰まってオイル切れを起こし
結果として動弁系の異常磨耗へといたり 異音発生することは容易に想像することが
できた。ただ この「K6A」型エンジンはベルトではなく ”タイミングチェーン”を採用して
いる特徴があること、また可変バルブタイミング機構を備えていることを考慮して
一度ディーラーさんに
意見を求めることにした。その結果インテークカムシャフト先端にあるタイミングギヤと
一体になっている「インテークカムスプロケット=可変バルブタイミング部品」が一番
怪しいことがわかった。ただしスプロケット内部が見れないので本来なら部品が高価な
こともあり発注に迷うところであったが 症状を確認していたときに 時々異音が出なく
なることがあったので このことより 原因がスプロケットと考えるとつじつまが合うので 今回は
お客様に連絡後 躊躇なく部品注文をした。またディーラーさんのアドバイスにより
タイミングチェーン関係の部品一式も同時に交換することとした。結果は良好であった。
最近のエンジンは低速、中速及び高速の”出力、トルク”を両立させる方法として「可変
バルブタイミング機構」を採用するものが増えてきているが このタイプのエンジンは
これまで以上にオイルメンテナンスに注意する必要があることを今回の修理で感じた。
スプロケットについては写真を参照してください、と言いたいところだが 手違い(?)
により INカムシャフトからスプロケットを取り外した後の状態になっていましたので
悪しからず。(苦笑)
お客様にはオイル交換に気をつけていただくことをお願いして納車を終えた。
*修理項目
インテークカムスプロケット及びタイミングチェーン関係一式取替。
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